在りし日の親父のお話。
親父「ウチの店と暖簾分けした店あんだろ?」
親父「ウチで予約したお客さんがタクシーの間違いでそこに着いちまってよ。」
親父「老夫婦だったんだけどよ、1時間雪の中玄関前に立たされてたんだよ。」
親父「ほんでお客さんから電話あってよ、俺迎えに行ったんだよ。」
親父「そのお客さん凍えてて泣きそうになってたのを見てよ。」
親父「俺よ、その暖簾分けした店に殴り込んで『板長出せ』っつっちまってよ。」
親父「てめえ、ウチの大事なお客さんによく無礼なマネしてくれたなっつってよ。」
親父「平謝りしたって通じねえ。筋通せっつったんだよ俺。」
親父「そんときに老夫婦からもらった感謝状、今でも大事に飾ってるんだぜ(´・ω・`)」
親父「せめてそういう時はよ。お茶出して俺に電話入れるなりしてくれりゃいいのによ。」
親父「あのお客さんの扱い方に俺ブチギレちまってよ。」
親父「確かにてめえの店とは関係のない客だけどよ。少しぐらい親切してやったって罰は当たんねえだろ?」
親父「なんかよ、世の中は本当に冷たくなっちまって俺悲しいぜ。」
十円玉「和食の世界はそういうところも大事にするからな(;´-`)」
親父「和食の世界がどうのこうのって話じゃねえバカ野郎(`・ω・´)」
親父「人としての礼節を最低限守らなかったあの店に頭キテんだよ(`・ω・´)」
親父はうんと古いタイプの板前だった。
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